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正しい日本語・適切な日本語     2016/10/07

 日本は、明治初期、互いに出身藩の言葉を使い、通じなかった。薩摩、京、江戸、東北、等の言葉が入り乱れていた。その数は300に上った。しかも、身分や性別、年齢によっても違い、人の数だけ言葉があるようなものだった。これでは、軍隊の命令も出せず、経済も成り立たず、学生や研究もできず、富国強兵は成り立たなかった。


 日本語ひらがな化計画やローマ字化計画、英語化計画などが出た。英語には、過去形の不規則変化を用いずed形で統一するなどの工夫が提案された。その後、万年先生などの功績により、標準語が創られ(【筆者加筆】、福沢諭吉や夏目漱石、岩波茂雄などにより普及され)た。


 標準語は、東京のごく一部の地域である現在の山の手にあたる地域で使われていた言葉を元にした。標準語の普及には、新しい言葉が浸透しやすい子供に学校で一斉に教えること、その時には、絵や歌を活用することで行われた。


 同じ意味の語で、どの言い方を標準語とするかについて、多くの葛藤を経て標準語が形作られた。例えば、普及率の高い「おっかさん」よりも「お母さん」を選んだ。前者には撥音があり、くだけた語感があるが、後者には長音があり、落ち着いた印象を与えるためだ。
(『歴史ヒストリア ~日本人なのに通じナイ!?明治標準語ことはじめ~ 』(NHK 011ch 2016/10/07 20:00~ )を見て )


≪考察≫
こういった歴史により、漢字、ひらがな、カタカナ、ポルトガル語(天婦羅等)、オランダ語(ランドセル等)、英語(バナナ等)、ロシア語(ノルマ等)、ドイツ語(ナトリウム等)、フランス語(マロン等)等を併用する『国語』ができてきたのである。この後は、ラジオ、テレビの影響力による流行語や芸能界業界用語、お笑い用語、ネット用語、女子高生用語、外資系カタカナ濫用語が織り交ざってき、さらには、人工知能用語、他星語が検討されるかもしれない。


 数世代前の日本人は、同じ言葉を話していなかったという知識は、現代の人々が、自分が使わない日本語を使うことに対する苛立ちを抑える。言葉は、地方や年齢、性別、主にどのようなメディア(人を含む)から情報を得ているかによって異なって当然である。


 らぬき言葉や敬語の誤用などをただした話し方を普及させるためには、この標準語の普及過程が参考になる。しかし、現在、言語を画一的に普及させられる学校の国語教育よりも、メディアの方が影響力があり、また、そのメディアも多様化しているため、明治時代の学校の影響力を凌駕することは難しい。学校で教わる国語をスマホやライン並みに使いたくなる魅力や利点を備えたものにしなくてはならない。学校教育で習う国語の文法通りに話したくなる仕掛けは何か。


 明治初期、英語の動詞の、過去形をed形に統一する提案がなされたことは、言葉が目的のために使う道具であるという真理を表している。正しい言葉ではなく、使いやすい言葉が、良い言葉なのである。そして、現代人が摩擦を避けるために使い方を工夫している言葉遣いは、それと同じように、各自の目的のために道具として言葉を使っている姿を現している。よって、彼らは学校国語では生活しづらいのであるから、矯正すべきではないのかもしれない。


 全ての物事は秩序から混沌へ向かうというエントロピー増大の法則は、宇宙の真理であるから、秩序維持は努力しなければ成立しない。学校で教わる国語通りの国語は、読書や執筆が習慣化している人々の間だけで使われる言葉になっても仕方がない。


 ただし、教員は、国語の教師でなくとも、児童・生徒の前で、『有名人や政治家も使っている不適切な日本語』を使わないよう、いつもいつも強く意識して、授業をしなければならない。